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イベントをつくる側

 京都では、祇園祭が過ぎると梅雨が明ける、と言うらしい。例年なら山鉾巡行の翌日にはそれまでの曇天がウソのように青空が広がったりするのに、今年はその言い伝え(?)も少しハズレ気味で、先週もずっと雨模様だった。昨日は久々に洗濯日和でした、そろそろ梅雨明けなのかな。
 さてもう10日も前の話題になってしまいますが、大きい台風も来ていましたね。雨が続いたのは台風のせいもあったのだろう。その影響で、中止になった花火大会・お祭りなどもあったようだ。そこらへんのニュースを見て回っていると、ちょっと気になる文章を見つけた。

 発見したのは、京都大作戦2007という野外音楽イベント。京都に住んでいながら全く知らなかったが、京都にゆかりのあるアーティストが京都で野外演奏を、という趣旨の音楽イベントだそうだ。イベントの趣旨はさておき、わたしが引っかかったのは、主催者である「10-FEET」というバンドの、イベント中止のお知らせ。

設営班の人たちの話しでは台風ともなると特設ステージなどは簡単に損壊してしまうとの事なのです。
さらに荒天になった場合避難できる場所も無く危 険性が高いという事で中止となりました。

 また、「10-FEET」公式サイトでの、メンバーコメントには、こうある。

設営班の人たちの話しでは「台風が通り過ぎないとスピーカーも吊り下げられずステージも設営できない」との事、台風ともなると野外ステージなどは簡単に損壊してしまうとの事なのです。さらに荒天の中、避難できる場所も無く、危険性が高いとの事で中止となりました。

 これを読んでわたしは、なんというか暗澹とした気持ちになった。
 単に書き方の問題なのかもしれないが、学生時代、サークル活動でずっとイベントの裏方を務めてきたわたしとしては、設営班の人たちの話しでは~との事、という表現は、とても悲しい。「設営班」が、イベントを運営する集団から一歩離れた所に立たされているような表現だな、チームには入れてもらえないんだな、と感じてしまったのだ。
 まあ確かに、演奏するバンドにとっては音響やお客さんのほうが身近な存在で、本来はステージ設営はあまり深く関わるポイントではないので、気持ちは分かる。だけどね、イベントが無事終了したときの乾杯が、バンドにとって究極の一杯ならば、設営班にとってもそれは同様に至高の一杯なんだぜ。そこの気持ちも分かってほしい。

 このバンドが、何故この時期に野外でイベントをやろうと思ったのか、野外でやることのリスクは充分に考えていたのか、そのあたりも気になった。こうしたイベントで「主催者」が何を行うのか、外からでは見えにくいものだ。この業者を選んだのが主催者本人の判断だったのかどうか、どういう基準でその業者に依頼することに決めたのか、それも分からない。
 夏の野外イベントに延期や中止は付き物だし、無理をおして開催に踏み切っても、確かに危険だったり交通事情の悪化でお客さんが集まりにくかったり。普通に台風のニュースを追っているだけでも、怪我人がたくさん出ていることぐらいは分かるはずだ。そもそも、ステージ設営の様子をきちんと見ていれば、そんな天候の中で作業を行うことが、まず第一に設営班にとってどれだけ危険なことか、分かるはずだ。

 こうしたイベントでステージ設営を任されるからには、恐らく「設営班」というのは、プロのステージ設営業者なのだろう。
 プロは賃金をもらう代わりに最善を尽くす。わたしはそういう場面を何度も目にしてきた。賃金の代わりにどんな大変な仕事でも遂行するのがプロなわけじゃない、仕事に見合った賃金をもらうのがプロなのだ。プロの見極めによってダメだと判断されたなら、それは本当にどうしようもないことなんだ。
 そして逆に、設営班が、お金で動く集団であるが故に、チームの一員として迎えられないのだとしたら、それが一番悲しい。お金の有無は、イベントを成功させようという心意気には、あまり関係が無いのに、そこを分かってもらえながちなのが、一番悲しい。

 わたしはステージ設営のプロではない。そちらの道への適性もなかったので、憧れだけで楽しく続けられる職業ではないと思ったので、プロになることも諦めた。それでもやはりこういう文章を見てしまうと辛い。憧れもろとも否定されたような気もして、ますます辛い。こんなことで辛くなってしまうからこそ、プロに向いていないのかもしれない、アマの考え休むに似たりってなもんかもしれない。
 もしかしてこの「設営班」は、プロの業者ではなかったのかもしれないし。書き方の問題だけで、本当は主催者と充分に話し合われた結果の中止だったのかもしれないし。運営班の物言いがまずくて、主催者はこのような書き方をせざるを得なかったのかもしれないし。それは分からない。分からないのに、推測と断定と思い込みの激しさだけでこういう文章を書いてしまうことをお詫びします。

 だけど知ってほしいのです。今週末フジロック観にいく方や、その他にもいろいろ夏のお出かけを楽しむ方に、気付いてほしい。
 チケットの値段はこうした苦労にかかるお金で、そのステージにはそれ相応のプロの仕事も関わっていて、プロというのはステージ上で楽しませてくれる方だけじゃなくて、そしてそれを楽しむあなた方の存在なくしては、イベントは成立し得ないということ。あなた方がお金を払ってくれるから単純にイベントを運営できるのではない。あなた方が喜んでくれるから、その価値のあるイベントをつくろうと思うんだ。
 まあ深く考え過ぎてもアレだけど、行く前とか帰ってきたあととかに、そんなんをふと思い出してくれれば嬉しいです。よ。

 あと、綺麗事を言うようだけれども、10-FEETには来年も野外イベントに挑戦してほしい。夏ってこういうものなんだ、野外ってこういうことなんだ、それを身に染みて理解したのだから、改めて夏の野外イベントに挑戦して成功させてほしいと思う。

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