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わたくしことkanakanaが、思ったことを書き散らす場です。

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「美琴姫様騒動始末」を読みました。

 しつこく盆休み中の話を続ける。お盆は何をしていたかというとこれ、ただひたすらに部屋の片付けに邁進しておったのですね。片付けに邁進するって変な言い回しだな。さておき、春から断続的に継続実行してきたお片付けも残すは本棚の整理だけ。物量的には心が軽いが、本の処分をしようというのは心に重い。
 まあ泣く泣く売っ払いまくってきたわけですが。多くはマンガと文芸書の類。しかし、知の技法とかが売れなかったので驚いたよ。古本屋を利用したのは初めてだったんだけれど、引き取ってくれない物もあるんだって。とりあえず教科書はダメなんだそうだ。
 バイクで3往復して、計224冊3065円。ワーイこのあぶく銭で焼き肉行こうぜ焼き肉ー。査定の仕組みは詳しく知らないが、煙草ヤニ焼けしまくりだったし、金額的にはそんなもんなんだろうなあと思う。それでもやっぱり1冊5円とか見ると哀しくなりますね。
 高校時代に面白く読んでそのまま実家から持ってきて、心がつらいときに読み返す本がけっこうたくさんある。しかし最早部屋の狭さには耐えられない。逆に言えば、部屋さえ狭くなければ、半永久的に手元に置いておきたい本ばかりなんだ。

 「美琴姫様騒動始末」も、そうやって長年手元に置いてある一冊。思い出せば、そもそもは表紙買いだったんだよなー、これ。だけど、軽妙な文体がとても気に入って、思いがけずここまで繰り返し読み続ける短編集になった。自分より数歳年上なだけの青年が書いた作品だったというのも、気に入った理由の一つだったように思う。
 昔は、表題作の「美琴姫様騒動始末」が一番好きだった。しかし数年前から、3作目の「たぶんしあわせ……」が最も染みる作品だと思うようになってきた。上や下を見て奮起することが嫌いだ、というのは以前にも書いたけれど、「たぶんしあわせ……」では、主人公はそういうふうには生きていかない。自分より上の人間を羨んで「ああいうふうになりたい」と思うことも、自分より下の人間を蔑んで「ああいうふうにはなりたくない」と思うことも、どちらも原動力にはならない。
 そこにあるのはただ自分だけだ。
 人生に他人が全く介在しないわけじゃない、だが、社会性などとはまた別の問題として、自分の生きる方向を自分で決めること。つらいときでも大丈夫だと思える根拠を自分の中に持つこと。そういう自信を持ちたいなあと高校生のわたしは思っていて、でもすっかりそれを見失ってて、ようやくまた元気を取り戻せた最近になって、偶然のようにこの作品を改めて読めたこと。幸せだよなあ、と思った。次にこの作品を読んで、幸せを感じられるのは、わたしの人生のいったいいつの時点になるだろうか。
 作者である結城恭介さんのサイトはこちらです。深夜のお茶会

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